≪壁式鉄筋コンクリート造 規準の変遷≫
各階の耐力壁の頂部には、原則として壁梁を有効に連続して設けるものとする。ただし、建物としての一体性が確保でき、かつ耐力壁の負担せん断力が適切に評価できる場合は、この限りでない。
各階の耐力壁上部には壁梁を有効に連続して設け、建物としての立体効果を確保することが壁式構造としての大前提である。なお、「原則として」としたのは、集合住宅の用途に供する建物等における張間方向に設けられる戸境壁のように1構面が開口部のない独立連層耐力壁より構成される場合、当該独立連層耐力壁の頂部には壁梁を設ける必要はないが、両端には直交壁を設け、以下に記載する壁梁の役割を直交壁に代替させる必要がある。壁梁は、耐力壁の浮上りや転倒を阻止する重要な役割を担っている。さらに、1方向の耐力壁が顕著なせん断ひび割れの発生によって、鉛直支持能力が低下しても、他方向の健全な耐力壁がこの鉛直力の一部を支持できるように、耐力壁の応力を相互に伝え、危険な落階を防止する重要な役割を有している。現場打ちおよびPCa壁式RC造建物に壁梁を設ける趣旨は、スラブの固定荷重と積載荷重を安全に支持するとともに、地震時における耐力壁の応力を相互に伝えることができるようにすることである。