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木造 診断・補強

木造住宅等の耐震診断

投稿日:2020年9月22日 更新日:

■木造住宅の耐震基準の変遷

・1981年5月以前:旧耐震基準

・1981年6月以降:新耐震基準
 必要壁量が旧耐震基準の1.2~1.4倍になった。(1959年12月以前は、さらに必要壁量が少なかった)

・2000年6月以降:2000年基準
 筋交い金物の配置、耐力壁両端の柱頭柱脚金物の設置、耐力壁の配置バランスの検討(四分割法または偏心率)などが仕様規定として定められた。

木造住宅の診断・補強の補助金は各自治体で異なりますが、補助金がでるのは旧耐震基準で建てられた住宅のみとなっています。
しかし、地震で被害を受けているものの中には、新耐震基準で建てられているものもあります。
金物や、耐力壁のバランスが耐震性に与える影響は大きいため、木造の新耐震は、2000年6月以降の建物と思った方が良いです。
補助金の対象を2000年6月以前の建物まで拡大してほしいところですね。

 

■各診断法の概要

診断法には大きく分けて、誰でもできる我が家の耐震診断、一般診断法、精密診断法の3種類がある。

 
誰でもできる我が家の耐震診断
一般の方向けの簡易診断。
住宅の耐震性に関わるポイントを知ってもらうことで専門家による耐震診断への誘導を図ろうと考え、耐震診断や耐震補強の啓発を重点に据えられている。
診断は10項目の問診から構成されている。

 

一般診断法
耐震補強の必要性の判定を目的としている。
建物の持つ耐力(保有耐力)を「設計上の耐力」「壁の配置バランス」「劣化度(建物全体)」の3要素から求める。

上部構造評点=edQu/Qr

必要耐力Qr   :軽い建物、重い建物、非常に重い建物の床面積あたりの必要耐力×床面積
保有する耐力edQu:Qu ×(耐力要素の配置等による低減係数)×(劣化度による低減係数)
Quは、壁基準耐力 × 壁長 × 柱接合部による低減係数
配置等による低減係数は、「四分割法による方法」または「偏心率による方法」により求める。

 

精密診断法
補強が必要かの最終的な判断を行うための診断方法。また、補強後の耐震性の診断としても精密診断を行うこととされている。
壁毎の耐力を詳細に設定でき、さらに部位毎の劣化度を考慮することで正確な耐力の診断が行える。
保有耐力計算は、「設計上の耐力」「偏心率」や「劣化度(部位毎)」を考慮し実際の耐力を計算している。
総合評価は、一般診断と同じく階、方向ごとに「倒壊しない」から「倒壊する可能性が高い」の4段階で表される。
精密診断法には、「精密診断法1」として位置づけたものと、「精密診断法2」に位置づけた3つの方法の計4種の方法がある。

 

精密診断法1(保有耐力診断法)

エネルギー一定則に基づいた保有耐力の考え方を基本としている。

上部構造評点=edQu/Qr

必要耐力Qr   :一般診断法よりも(略算法による)床面積あたりの必要耐力の出し方の表が細かい。
また、建築基準法施行令に準じて求める方法(詳細計算)もある。Qi=0.2×Ci×ΣWi
その際、建物重量Σwiは、住宅の簡易重量表(床面積あたり)から求めてもよい。

保有する耐力edQu:Qw,wo,c ×(剛性率による低減係数)×(偏心率の仕様による低減係数)
Quは、壁基準耐力 × 壁長 × min(接合部低減係数, 壁劣化低減係数) …剛性も同様に求める。
一般診断法では、壁基準耐力は10kN/mまでだが、精密診断法1では14kN/mまでとなっている。

基準法の新築時の設計における壁倍率による壁量計算とほぼ同じ方法であるが、以下の点が異なる。

・各耐力要素の耐力を、終局耐力と靭性を考慮して与えている。これにより、合算して求められる木造住宅耐力は、損傷限界のレベルのものではなく、保有耐力になる。
・耐力を壁倍率のように基準となる耐力に対する倍率ではなく、耐力そのもので与えている。無開口壁以外にも、無開口壁に連続する有開口壁の耐力も合算する。
・枠組壁工法、伝統工法の住宅も同様の方法で診断できる。

 

精密診断法2

高さの高い壁や広い空間を持つ構造(非住宅:学校校舎、園舎、体育館など)にも適用できる。

「保有水平耐力計算」、「限界耐力計算」、「時刻歴応答計算」の3つの方法がある。
『2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法』では、主に「保有水平耐力計算」の解説が書かれている。

「保有水平耐力計算」は、建築基準法の保有水平耐力計算の考え方を用いて上部構造評点を算出する方法である。
診断は以下の2つのいずれかによる。

 

(1)層の荷重変形関係に基づき、保有水平耐力を求める場合 …診断ソフトではこちらしかない。
(2)単体壁の終局耐力の累加により、保有水平耐力を求める場合

(1)は、剛床と柔床で計算が異なる(4つの計算ルート)。

(1)の方法について
方法A:剛床と見なせる場合
 方法A-1:偏心率が0.15以下の場合  …各構面の荷重変形関係の累加を層の荷重変形関係とする。
 方法A-2:偏心率が0.15を超える場合 …上記の方法にねじれ補正係数を考慮。
方法B:柔床(非剛床)の場合
 方法B-1:水平構面剛性を無視して計算する方法 …構面ごとに負担する地震力に対する耐力の充足率を求めて、各構面の最小値を評点とする。あわせて水平構面の変形追従性の確認が必要。
 方法B-2:水平構面剛性を考慮して増分解析を行う。

(2)の方法について
壁毎の保有耐力を累加する。壁毎にDs値が異なるものを累加しているためか、必要保有水平耐力を算出する際に、Ds値は壁の終局耐力によって重みづけをした値を用いる。あわせて水平構面の荷重伝達の確認が必要。

荷重変形関係を用いるため、一見すべて増分解析が必要か?とも思えるのですが、そうではなく、基本的に実験から得られた荷重変形関係を用います。(資料編に記載)
方法B-2だけは増分解析が必要になります。

解説には明記されていませんが、精密診断法2が非住宅も対応できる理由として考えられるのは、水平構面の検討も行う点にあると思います。 非住宅は一般に住宅よりもスパンが大きくなるため、地震力を床から耐力壁へ伝達させる際に、床の耐力・剛性の確保が問題になるからです。

 

■調査

一般診断法は非破壊検査を基本とする(部分的撤去を行わなくても、床下、天井裏などから調査を行うことを原則としている)
精密診断法では全骨組の調査が基本となり、やむを得ず未確認で診断した場合には、耐震補強工事時に確認が必要。

 

2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」主な改訂内容

 

【参考文献】
・『2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法』日本建築防災協会
住宅性能診断士 ホームズ君.com
・建築技術 2005年2月 No.661【最新】木造住宅の耐震診断と補強方法


 

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