Last updated on 2023年3月28日
RC規準2018年版において、「付着の検討が省略できる場合」についてまとめてみます。
長期荷重に対する梁の通し筋の付着応力度の検討が不要となる場合
・長期荷重を受ける梁で通し配筋としている場合‥両端ともに引張あるいは圧縮を受けているため、通し配筋された梁主筋が左右に滑ることはないと考えてよい。
(柱部材は、一般に長期・短期荷重ともに逆対称に近い曲げモーメント分布となるため、長期荷重に対する付着応力度の検討が必要)
付着割裂破壊に対する安全性の検討が省略できる場合
・全て通し配筋とする場合で、せん断の安全性の検討を行い、大地震動に対して曲げ降伏しないことを確かめた場合。
せん断の検討は、荒川mean式や、規準15条によるせん断の安全性の検討などによる。
※ルート3以外の場合は?(2021/11/03 追記修正…Mさまよりご助言いただきました。ありがとうございます^^)
RC造の場合は、ルート1,2では「壁量・柱量の確保により十分な耐力、剛性が確保されているために大きな塑性変形が生じる恐れがない」ため、「曲げ降伏しない」と考えることができます。つまり、すべて通し配筋する場合、
せん断の安全性の検討を行えば、付着の安全性の検討を省略することができます。(黄色本2020 Q&A No.14、RC規準2018 Q&Aより)
・大地震動に対して付着割裂破壊を生じるおそれがない曲げ材(スラブや小梁、片持梁などの長期荷重が支配的な部材など)
「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」の解説において、「付着割裂破壊」が、条文の中の「せん断破壊等による構造耐力上支障のある急激な耐力の低下」に含まれることが明記され、
RC部材の設計ルート全てにおいて付着割裂破壊が生じないことを確かめることとなりました。
では、どうしても付着割裂破壊が「生じる」となった場合はどうするのかというと‥
付着割裂破壊するとなった場合
ルート3の場合は、部材種別を考慮した保有水平耐力計算ができるため、付着割裂破壊が「生じる」となった部材は、脆性部材として部材種別FDとなります。(上部が鉄骨造の場合は、Ds算定に注意が必要かと思われます。)
その他の計算ルートの場合は脆性破壊を考慮した設計ができないため、付着割裂破壊しないようにする必要があります。
付着割裂破壊がNGになりやすいのは、短スパンの梁ですね。ただし、短スパンの梁は大地震時に曲げ降伏しない場合が多いので付着割裂の検討は省略できることが多いと思います。
付着割裂破壊をOKにするには以下の方法が考えられます。
・主筋の間隔を増やして付着強度を上げる。
・スタラップを増やす。
・曲げ降伏しないように主筋を増やす。
などが考えられますが、主筋を増やしすぎると、今度は接合部の設計が難しくなります。
主筋の間隔を増やすと付着強度が大きくなりますので、1段にならぶ主筋本数を減らすと結構OKになったりします。
4/2を3/3にするなどですね。
Be First to Comment