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診断・補強

あと施工アンカーを用いた増設壁は一体とみなせるか

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増設壁のせん断耐力計算がわからなくなってきました…^^;
頭の中を整理するためにメモします。

以下、学校施設の耐震補強マニュアル(以下「学校マニュアル」)p.86を参考に。

———————————————
増設壁のせん断耐力は、次の(A)、(B)のうち小さい方の値としてよい。

※参考文献6) (武田寿一 「耐震診断と補強法-設計・施工の実務」、理工図書)では、
 接合部が破壊しないで一体打ちとして挙動する条件として
  ・梁下は無収縮モルタル充填
  ・既存躯体の接合面の目荒らしが十分
  ・あと施工アンカーを壁全周に設置する
  ・壁筋の全引張強度をアンカー筋に伝達できる
 をあげ、この条件に当てはまる場合は、周辺フレームと壁板は分離しないので、(A)で示す
 一体打ちのせん断強度のみを検討すればよいとしている。

(A)一体打ちのQsuに後打ちの影響を加味して低減したQsu
 低減係数(0.8~1.0)×荒川式
  (もしくは、低減係数(0.8~1.0)×広沢式×90%)

この低減係数は、アンカーの埋め込み長さ8daをとって、全周に打設した場合は1.0となる。
なお、開口がある場合は、開口による低減γのみを考慮し、こちらの低減係数は考慮しなくてよい。

(B)柱と壁が分離して変形したときのQsu
 ①「側柱2本のα×せん断耐力+壁単体の耐力」と、
 ②「アンカーのせん断耐力+側柱1本のα×せん断耐力+側柱1本のパンチングシア耐力」
のうちの小さい方とする。

———————————————
※の参考文献についてのコメントは、「あくまでこの文献ではこう言ってますよ。」というレベルで、
学校マニュアルの計算例では、この考えは採用されていません。
設計者の判断にまかせるということでしょう。

(A)については、通常アンカーは四周に入れるので、後打ちの影響を加味した低減は無し(=1.0)となり、
診断ソフトで計算した値そのままとなります。

(B)の①については、エクセルか何かで別途計算します。

そして、②による値が(A)か(B)の①の値の小さい方の耐力を上回るように、アンカー径と本数を決定します。

これは改修指針でも同じことが書かれています。

ここで、疑問が生じました。
(A)で、アンカーを全周配置した場合は低減無し(=1.0)、つまり一体として
計算していいですよと言っているにもかかわらず、
分離した場合の(B)の①の耐力を考慮しましょう…と言っています。

そして、結構(B)の①の方が小さくなったりするのです。。

改修指針では、一体打ちとみなせるような場合は、既存鉄筋と溶接した場合であり、
アンカーやコッターを用いる場合は一体とは見なせないと書かれています。
結局、アンカーを全周配置しても一体とは見なせないと考えて
安全側に(B)の①の場合も考慮して小さい方とした方がいいということなんでしょうね^^;
改修指針の計算例もその考え方になっています。

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