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柱の軸方向変形の考慮がよくわからない

Last updated on 2020年4月23日

普段、構造計算に使っている一貫計算ソフトは、マトリックス変位法が用いられています。

たわみ角法や、固定法では曲げ変形しか考慮できませんが、

マトリックス法では、曲げ変形せん断変形軸変形(軸方向の変形)を考慮することができます。

 

ただ、RCの柱の長期荷重による軸変形は、通常考慮しません。

その理由は、鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2010(以下、RC規準2010と呼ぶ)にこう書かれています。

柱部材では、一般にRC造建物は1層ずつ打設され、躯体重量に対する軸方向変形は、1層ずつ不陸を修正しつつ施工されるので、長期荷重に対する解析では、軸方向力による変形を無視することができる。一方、水平荷重に対する解析では、……

なるほど、長期荷重による変形は施工時に一層ずつ済んじゃってるから、考慮しなくていいんですね。

でも、積載荷重って施工時には大してかかってないですよね…細かいこと言うなって?(^^;

 

では、軸変形を考慮すべき場合とは…?

柱の軸変形を考慮すべき場合

①高層部に低層部等が取り付く場合

高層建物等で軸剛性の異なる柱が並存する場合には、施工の段階で徐々に軸変形が増加し、柱間に軸変形の差が表れ、取り付く梁や床に比較的大きな部材角が発生する可能性がある。特に高層部に低層部等が取り付く場合には、高層部の柱の軸変形が施工につれて増加し、低層部との接続部の床、梁に支障を生じる可能性がある。この軸変形には……

(出典:RC規準2010)

これ、特に高層部に低層部等が取り付く場合は、図も書かれているので理解しやすいんですが、

高層建物等で軸剛性の異なる柱が並存する場合、って分かったようで分からないんです。。

だって、「1層ずつ不陸を修正しつつ施工されるので、長期荷重に対する解析では、軸方向力による変形を無視することができる」って言ってたんですよ。

これ、軸剛性が異なる柱が並存していたとしても、施工時に不陸が修正されるから軸変形無視していいんじゃないの?って思うんですけど、どうなんでしょう^^;

施工時には考慮されてない積載荷重による影響が、高層になると大きくなるからとかでしょうか?

 

独立柱と直交方向に耐震壁がついている柱が隣り合っているラーメンがあり、柱の軸変形を考慮したとすると、

独立柱よりも、耐震壁がついている柱のほうが軸変形が小さくなるので、こっちの上端で梁の負曲げが大きく吊り上がります。

こういうのが高層になった場合に軸変形を考慮しようってことかな?

 

 

②上下階に連続しない柱を設ける場合

上下階に連続しない柱では、梁の剛性や床荷重の大小により、柱の長期時応力が異なってくる。

 

結局、

こういう場合は「無視することができる」っていうことなので、積載荷重が後からかかることを考えたら、

長期荷重時も、軸変形を考慮するに越したことはないってことでしょうかね^^;

 

(参考文献)

・「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説2018」、日本建築学会


・「大阪府構造計算適合性判定 指摘事例集 -よくある指摘事例とその解説ー 2016年版、大阪府

 

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