Last updated on 2020年4月20日
既存鉄骨造の耐震診断、補強をする際、鋼材の材種を確認する必要があります。
といっても、診断・補強の対象となる建物は、ほとんどSS41が使われています。
材質としては同じですが、いつからSS400と呼ばれるようになったのでしょうか。
構造用鋼材の変遷
・普通鋼(SS400)
1950年以前から使用されている。
1994年のJIS改正以前は、SS41と呼ばれていた。
・高張力鋼(SS490)
1956年頃から使用され始める。
SS41と同様に、SS50と呼ばれていた。
・建築構造用(SN400、SN490)
1994年に規定された。
・H形鋼の普及による鉄骨構造の急増
圧延形鋼としては山形鋼、溝形鋼、I形鋼が戦前から使用されていたが、1961年からH形鋼が生産され始め、鉄骨構造が急増した。
・冷間成形角形鋼管(STK、STKR)… JIS規格品
1975年から使用され始める。
当初は系の小さいサイズ中心。
1981年新耐震以降、ブレース構造に比べて構造的に有利なラーメン構造が増加したことで、主要な柱材として径の大きなサイズが多用されるようになった。
・冷間成形角形鋼管(BCR、BCP)… 大臣認定品
1995年から製造開始。
STKRの角部の力学特性の問題点を改良したもの。
主な接合法の変遷
・リベット接合
1950年から1960年にかけて現場接合用にさかんに用いられた。
・高力ボルト接合
1958年頃から使用され始め、1964年にJIS規格が制定。
1965年頃には、リベット接合から高力ボルト接合に完全に替わられた。
当初F9Tが主流であったが、1972年のJIS規格改訂後はやや強度の高いF10Tが使用されている。
・工場溶接
1970年初頭まで主流であった被覆アーク溶接(手溶接)は、その後効率の良い炭酸ガスシールドアーク溶接(半自動溶接)に替わられ、現在に至る。
・現場溶接
一時期フラックス入りワイヤを使用したノンガス半自動溶接が使用されていたが、現在ではほとんどが炭酸ガスシールドアーク溶接に替わられている。
(参考文献)
・「わかりやすい鉄骨の構造設計」,技報堂出版
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