Last updated on 2023年7月19日
官庁施設の設計をする際に、県や市等からの設計仕様書(こういう風な条件で設計してくださいという設計与条件)で指定される「重要度係数」。
「重要度係数」とは、大地震後の建築物の機能を確保するため、建築物の重要度に応じて必要保有水平耐力を割り増す係数のことです。 国土交通省の「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(平成25年制定)」では、耐震安全性の分類及び目標について以下のように規定されています。
分類 | 重要度係数I | 耐震安全性の目標 |
Ⅰ類 | 1.5 | 大地震後、構造体の補修をすることなく使用できる。人命の安全確保と十分な機能確保を図る。 |
Ⅱ類 | 1.25 | 大地震後、構造体の大きな補修をすることなく使用できる。人命の安全確保と機能確保を図る。 |
Ⅲ類 | 1.0 | 大地震により構造体の部分的な損傷は生じるが、全体の耐力の低下は著しくないこと。人命の安全確保を図る。 |
必要保有水平耐力を割り増すものなので、保有水平耐力計算を行うルート3の場合はいいのですが、
ルート1やルート2の場合はどうするのでしょうか?
「重要度係数」が規定されている主な文献は、以下があります。(他にもあるとは思いますが^^;)
●官庁営繕の技術基準(国土交通省)
①「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準(平成25年制定)」 ‥上記の文献
②「建築構造設計基準の資料」 平成30年 ‥「建築構造設計基準」を円滑かつ適切に運用するために必要な事項をとりまとめたもの。
●文部科学省の技術的基準・資料一覧
③「建築構造設計指針」平成21年版
上記の文献②では、ルート3以外の場合における重要度係数の扱いが書かれています。RC造ルート1,2の場合は必要壁量・柱量を割増す係数として、S造ルート1,2の場合は1次設計時の層せん断力係数を割増す係数として扱われます。
学校関係の文部科学省による文献③における重要度係数の扱いは、文献②とほぼ同じとなっています。ただし、原則として重要度係数I=1.25とすると規定されています。
ちなみに…現在は廃版となっていますが、文献①の(おそらく)旧版にあたる「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説 平成8年版」(建設大臣官庁営繕部監修)では、重要度係数は原則として必要保有水平耐力を割り増すものとされており、”ルート1及びルート2は、大地震動に対して構造体が保有している性能が不明確であるため、Ⅰ類及びⅡ類の建築物については適用しないことが望ましい。”という記述がありました。
S造ルート1で重要度係数を考慮するとなると、Co=0.3×Iとなるので、一次設計用地震力がかなり大きくなります。いい加減ルート1は部材断面が大きくなりがちなのに、さらに重要度係数を考慮すると余計に断面が大きくなりますね… ルート3で適判にいったほうが、多少手間は増えますが経済的な設計ができると思います。
ところで、「重要度係数」はいつから規定されたのでしょうか。
用途係数と重要度係数について 建築物の構造計算において、用途係数と重要度係数は、いつから存在していたのでしょうか?
(yahoo!知恵袋より)
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