Last updated on 2023年7月19日
高炉とか大きい工場ってかっこいいですよね。学生時代に見学に行ったJFEの製鉄所と、日雇いバイトで行ったIC工場の感動は今でも覚えています。IC工場は普通にロボットがピロピロいいながら働いててSF感満載でした。今はもっと進化してるんでしょうね。ああいう工場も設計してみたいもんです…
新型コロナの影響で製鉄所も一部の高炉を休止するところがでてきましたね。
高炉の休止・再稼働には多額の費用と時間が必要になるので、この決断は大変なことのようです。
・もともとあった原材料価格の高止まり
・中国などの供給過多による価格の下げ圧力
・昨今の市場の急激な冷え込みによる需要の低迷
これらを受けて、鉄の供給過多を防ぎ、利益を改善する目的で、一部高炉の休止、または廃止が行われるようです。(呉製鉄所の閉鎖については、コロナは直接的な原因ではないようです。)
▶巨額の赤字で高炉を休止、日本の鉄鋼メーカーに何が起きているのか2020/04/02
▶日本製鉄が新型コロナで東西2高炉を一時休止、2日間の一時帰休も実施2020/04/08
▶過剰設備、大なたも残る不安 製鉄所の閉鎖決定―日鉄2020/02/08
高炉と電炉
鉄を作る方法には、高炉と電炉(電気炉)の2つがあります。
高炉は鉄鉱石とコークスを熱して銑鉄を作り、そこから鉄を作っています。
電炉は鉄スクラップを溶かした後、成分を調節して再利用する形で鉄を作っています。
高炉と電炉というと、ドラマ『華麗なる一族』。万俵鉄平役のキムタクの熱演と壮大なサントラが印象に残っています。
万俵鉄平が専務を務める阪神特殊製鋼が、自動車メーカーから大量の受注を受けることができたものの、受注に見合う量の鉄を生産するには電炉だけでは間に合わない。高炉を作りたいが高炉建設には銀行からの多額の融資が必要で……詳しくはドラマをご覧ください(^^;
ちなみに阪神特殊製鋼のモデルとなった山陽特殊鋼ですが、去年、日本製鉄(旧:新日鉄住金)の子会社となっています。
▶『華麗なる一族』のモデル・山陽特殊鋼が新日鉄住金の子会社に
建築業界も、ついこの間まで、消費増税前の駆け込み需要やオリンピック関連の需要で鉄が足りない、高力ボルトが足りないと騒いでいて、
やっと落ち着いてきたと思ったら、今度はこんなことになるなんて… わからないものですね。
▶鉄鋼大手、「五輪後」需要早くも争奪戦2019/07/24
高力ボルトの不足については、不足危機感からの過剰発注によるものが大きかったようですが。
▶中小企業が消えた産業、「高力ボルト」が足りぬ夏2019/11/14
▶国交省、高力ボルト不足の緩和を発表2020/03/17
日本で高炉を所有している鉄鋼メーカー(高炉メーカー)は以下の3社です。現在日本にある高炉は、合計で24基のようです。
・日本製鉄
・JFEスチール
・神戸製鋼所
日本製鉄はここ何年かで合併したり社名を変えたり忙しいですね。粗鋼生産量において日本国内最大手となり、世界ではアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)、中国宝武鋼鉄集団(中国)に次ぐ世界第3位となりました。
建築で使われる棒鋼や形鋼の多くは、一般的に高炉ではなく、電炉から作られたものが多いようです。
高炉は、付帯する製鋼設備を活用することで、高度に結晶構造や成分を調整できることから、高張力鋼板(ハイテン)や電磁鋼板などの、いわゆる自動車や家電などに多用される高級鋼の生産が主流のようです。(リンクより)
自動車も建築も需要予測は厳しい感じですね。
これからどうなるかわからないって時に、高い買い物はなかなかできないと思います。
ただ建築の設計に限って考えてみると、設計事務所もこれから時間に余裕が出てくるところが多いと思うんです。
普段よりも落ち着いていい設計ができる、してもらえるチャンスかもしれません。
とはいえ、コロナにははやく収束してほしいものです。
【関連サイト】
▶高炉とは 製鉄所の中核設備、日本の大手は3社に集約2020/01/31
▶日本製鉄の抜本改革、高炉休止の次は神戸製鋼との統合も検討?2020/02/13
▶新生・日本製鉄の苦悩 新型コロナショックで「泣きっ面に蜂?」 米中貿易摩擦、鋼材市況の低迷も2020/03/17
▶武漢の操業継続企業で起きたこと – 中国再起動への苦闘(4)2020/03/06
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