Last updated on 2020年4月7日
鉄骨は不燃材料であり、木材のように燃えて灰になることはありませんが、
火災により温度が上昇すると、耐力が減少してしまいます。
一般的には600℃で耐力が半分になります。
鉄骨造3階建て以上の建物は、柱の防火被覆が必要です。(防火、準防火地域の場合は別途考慮が必要)
黄色本(建築物の構造関係技術基準解説書〈2015年版〉)を参考にまとめてみます。
これは、火災初期に建築物が倒壊することを防止するために、柱について一定の防火性能を求めるものとされています。
1,2階建てなら無被覆でもOKですが、
3階建てともなると、避難の問題もありますし、火災により倒壊した場合の周囲への影響(延焼や道路への倒壊など)が大きくなるためだと思われます。
政令第70条によると、
火災発生から30分間の間に柱の耐力が低下して、建築物全体の倒壊につながることのないように、柱の防火被覆をしましょう。という内容が書かれています。
(もちろん、主要構造部が耐火建築物または準耐火建築物の仕様を満たしている場合は、ここでは対象外とされています。)
柱の防火被覆
柱の防火被覆は以下のものとする必要があります。
〇「告示 平12建告第1356号」に書かれている5種類の例示仕様
一 厚さが12mm以上の石膏ボードで覆ったもの
二 厚さが12mm以上の窯業系サイディングで覆ったもの
三 厚さが12mm以上の繊維強化セメント板で覆ったもの
四 厚さが 9mm以上の石膏ボードに厚さが 9mm以上の石膏ボード又は難燃合板を重ねて覆ったもの
五 厚さが15mm以上の鉄網モルタル塗りで覆ったもの
〇国土交通大臣の認定を受けたもの
黄色本では具体的に書かれていませんが、以下のような防・耐火被覆があります。
・耐火塗料
・吹付ロックウール
・ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)
・巻付け工法
・発泡性耐火シート
柱の防火被覆をしない方法
柱の防火被覆をしない方法には以下があります。
〇建物内の柱のどこか1本の柱がなくなったとしても、建築物全体の倒壊につながらないことを構造計算で確認する方法があります。
具体的には「告示 平12建告第1356号」に書かれています。
〇国土交通大臣の認定を受ける
〇耐火鋼(FR鋼)を用いる:大臣認定が不要となる立体駐車場でよく用いられています。一般建築物の場合は大臣認定が必要で、各部屋の熱量をチェックする等、設計負荷も非常に高くなります。
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