Last updated on 2020年4月23日
たぁ~ぼ~様の「構造つれづれ日記」の
H18年あと施工アンカー設計・施工指針の適用範囲
を拝見させていただいてハッ(‘_’)とさせられたので、
自分なりにもまとめておきたいと思います。
たまに新築の建物で、工事中に「〇〇を付けたくなったから、あと施工アンカーでできないか」とかいうお話を頂くことがあります。
しかし、新築の建物で、構造耐力上主要な部分にあと施工アンカーを使用することはできないんです。できたらわざわざ先付でアンカー埋め込んどく必要ありませんよね。
(非構造部材の緊結には使用できますよ。)
平成13年国土交通省告示第1024号「特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件」
が、平成20年に改正されて、あと施工アンカー(および炭素繊維)の許容応力度と材料強度は、国土交通省が指定した数値を用いることができるようになりました。
平成20年に改正された理由は、かの耐震偽装事件を受けて、偽装物件のような違法建築物を含めた既存建築物を補強して建築基準法に適合させるためでした。
(詳しくは↓を参照)
平成13年国土交通省告示第1024号の一部改正を受けてJCAAとしての活動報告
つまり、耐震補強した建物について、新築時の計算と同じように許容応力度計算と保有水平耐力等の計算をするということですね。
技術基準解説書にも、こう書かれています。
国土交通省が指定した数値はどこにあるのかというと、技術的助言として示された「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」に書かれています。
短期許容応力度と終局強度のみが規定されており、長期許容応力度は規定されていません。
基本的に、短期許容応力度は終局強度の2/3倍となっています。
適用範囲は、既存の鉄筋コンクリート造等の部材とこれを補強するための部材との接合に用いるものに限られていて、「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」では、「架構内に現場打ち鉄筋コンクリート壁又は枠付き鉄骨ブレースを設置する場合」に限定されています。
つまり、「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」に従って計算する場合というのは、
違反建築物(耐震偽装や確認申請を下ろさずにこっそり建築した建物等)を建築基準法の構造計算方法によって補強する場合にほぼ限られそうですね。
普通に新耐震基準以前の既存不適格建築物を補強する場合は、
耐震改修促進法による「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計指針 同解説」(日本建築防災協会)に従って補強計算しますから。
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