Last updated on 2020年9月24日
「小規模建築物基礎設計指針」による圧密沈下の検討手順のざっくりメモです。
小規模指針では、沈下の検討として圧密沈下の検討が記載されています。P.79より
2.不同沈下は、建築物の傾斜角または変形角の大きさによって評価する。
即時沈下は、透水性の高い砂質土に生じ、荷重が加わると同時に土中の水が移動し沈下は早期に終了する。
即時沈下は比較的表層部の弾性変形と考えられ、小規模建築物のような荷重度が小さい場合、即時沈下が問題となることはほとんどない。
小規模建築物の場合、表層部の支持力の検討が即時沈下の検討を兼ねているとみなせる。
小規模指針では、SWS試験において自沈する地層など軟弱地盤で不同沈下が予想される場合は、沈下の検討を行うことが望ましいとされています。
また、平13国交告第1113号 第2では、SWS試験で地耐力を求める場合で、
・基礎底部から下方2m以内の範囲において1kN以下で自沈層がある場合
・基礎底部から下方2mを超え5m以内の範囲において500N以下で自沈層がある場合
には、建築物の自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物または建築物の部分に有害な損傷、変形および沈下が生じないことを確かめなければならない。とされています。
圧密沈下の検討手順
①接地圧を求める。
②圧密対象層の層厚中間位置での地中増加応力⊿σを求める。
B×Lの長方形の地表面に接地圧がかかる場合の、隅角部における深さZの点での⊿σが求まる。
隅角部以外の任意の点では、長方形分割法(長方形の中心位置ではそれぞれの長方形の⊿σの4倍になる)により求める。
(集中荷重が加わる場合のブーシネスク(Boussinesq)の式を積分した式に基づいた式(5.5.4)による)‥‥基礎指針p.43の式(3.1.1)と同じ
③圧密対象層の圧密沈下量Sを求める。圧密層が多層ある場合は、層毎に求めて合計する。
(5.5.1)式または(5.5.2)式により求める。
※これらの計算式は圧密未了~正規圧密状態におけるもので、過圧密状態では過大な値となることに注意。(その他の場合は基礎指針の式による)
※それぞれの式で必要な係数、指数が異なる。
※小規模指針の巻末の設計例P.295、小規模基礎設計例集P.46では(5.5.1)式を用いている。
※べんりねっとのエクセルシートは(5.5.2)式によっている。
④沈下量が許容沈下量以下になることを確認する。
不同沈下量が許容量以下になることを確認する。
※小規模指針の設計例は、基礎四隅の相対変位で計算している。べんりねっとのエクセルシートは基礎四隅と基礎中央部の相対変位で計算している。
沈下量の評価と沈下限界値については基礎指針を参照。(P.150)
総沈下量、不同沈下量、相対沈下量。傾斜角、変形角、部材変形角の違いを理解する。
※一見、べた基礎にしか使えないように見えますが、布基礎でも使えるようですね。基礎指針には独立基礎の計算例もある。
(p.82中間参照)
なお、地耐力の検討には圧密は関係ありません。
別途、普通に地耐力を求めて、接地圧≦地耐力であることを確認します。
(参考文献)
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