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液状化のおそれのある層の摩擦力は無視するべき?

Last updated on 2020年4月23日

また杭です。

この際、杭シリーズとしてまとめておこうかな^^;

 

杭の許容支持力、極限支持力を求める際、液状化の恐れのある層の摩擦力は無視するべきなのでしょうか。

黄色本(2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書)などを見ていきたいと思います。

 

①黄色本p.565 9.6.3 基礎ぐいの許容支持力

「平13国交告第1113号 第5」では、杭の長期・短期の許容支持力が定められています。

告示原文より

RF 次の式により計算した基礎ぐいとその周囲の地盤地震時に液状化するおそれのある地盤を除き、軟弱な粘性土地盤又は軟弱な粘性土地盤の上部にある砂質土地盤にあっては、建築物の自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物の部分に有害な損傷、変形および沈下が生じないことを確かめたものに限る。以下この表において同じ。)との摩擦力。

RFは、摩擦力のことです。

個人的に、この告示の文、モヤモヤします(–;

「地震時に液状化するおそれのある地盤を除き、軟弱な~地盤にあっては、」と書かれていますが、一文が長過ぎて分かりにくいですね^ ^;

「地震時に液状化するおそれのある地盤を除く。なお、軟弱な〜地盤にあっては、」と書いた方がいいんじゃないかと思うのですが、果たして。。

ちょっと、解説を見てみましょう。

 

・解説のp.569中段

軟弱な粘性土地盤、軟弱な粘性土地盤の上部にある砂質土地盤の場合は、地震時に液状化するおそれのある地盤を除き、(2)の限界沈下量の確認と同様に基礎ぐいや地盤の沈下等より建築物又は建築物の部分に有害な損傷等が生じないことが確認できれば、摩擦力として加算できる。

なんとなくわかってきました。

軟弱な粘性土地盤、軟弱な粘性土地盤の上部にある砂質土地盤は、通常摩擦力を加算しないほうがいいけど、

・液状化するおそれがない

・沈下により建物に有害な損傷が生じないことを確認した

場合に限って、摩擦力に加算していいですよ ってことですね。

 

また、2015年版では、解説のp.571に以下の文章が追加されています。

(6)基礎ぐいの許容支持力算定時には、液状化のおそれのある地盤をその算定範囲から除く必要があることに注意する。ここでの支持力算定上除外すべき「地震時に液状化するおそれのある地盤」とは、「建築基礎構造設計指針」に示されている液状化発生の可能性の判定に用いる指標値(FL値)により液状化発生の可能性があると判定される土層(FL値が1以下となる場合)及びその上方にある土層をいう。

あら、こんなとこに明記されてましたね。

告示の原文だと、勘違いする人がいたからでしょう。(僕も)

長期・短期許容支持力の算定では、液状化するおそれのある地盤(FL値が1以下となる層だけでなく、その上方にある層も)は、摩擦力を加算できない。

ということですね。

とにかく安全側の設計をしましょう、ということですね。

 

②黄色本p.438 9.6.3 極限支持力の扱い(耐震設計ルート3の場合)

「平19国交告第594号 第4 第五号」では、塔状比が4を超える場合の転倒の検討についての内容が書かれています。

転倒の検討をする際の、くいの極限支持力の扱いですが、

解説のp.438下段に、

また、くい周面の摩擦力に関して、一般に液状化のおそれがある場合は、押し込み側と引抜き側ともに、液状化のおそれがある層及びその上位の層の摩擦力を考慮せず算定することが一般的であり、引抜き方向の極限支持力の評価においても大地震時における液状化の影響を考慮する。

とあります。

考慮せず算定することが一般的と書かれていますね。もし考慮するのならば、それなりの根拠が必要になってくるでしょう。

これは、大地震時の話なので、液状化判定も大地震時のものを用いることになるでしょう。

 

以下、参考ですが

FL値による判定の地表面加速度

液状化判定にはFL値による判定がよく用いられていますが、この地表面加速度の設定についての記述が、p.553にあります。

一般的には、以下の検討がされていると思います。

・大地震時の基礎の設計をしない代わりに、150galではなく、200galで液状化判定を行う。

・350galでの液状化判定結果は参考値として扱う。

 

(参考文献)

・2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書

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