Last updated on 2021年9月21日
久々にブレースの設計をすると、断面積に全断面積Agか有効断面積Aeのどちらを
使うのかわからなくなります(いまだに^^;)
今度こそってことで、まとめておきたいと思います。
・山形鋼、溝形鋼
Ag=全断面積
Ae=AgーAd(突出部の無効部分+ボルト穴欠損)
・丸鋼
転造ねじ :Ae=Ag (通常用いるJISターンバックル筋かいの場合こちら)
切削ねじ :Ae=0.75・Ag (Agは呼び名から計算した丸鋼の全断面積)
※転造ねじのAgと切削ねじのAgの値は異なるので注意!
JISターンバックル筋かいの軸部は呼び名の寸法より細くなっていて、ターンバックルがついているところだけ呼び名の径になっています。
そのため、Agの計算には、最小軸径を用います。
例)1-M12の場合 最小径=10.64mm
Ae=Ag=pi・(10.64/2)2=88.9mm2
①剛性計算用
Ag
②許容応力度設計(一次設計の引張に対する断面検定)
Na=Ae・sft
例)1-M12の場合(SS400, sft=235)
Na=88.9mm^2×235×10^-3=21.0kN
③保有耐力接合の検討
Aj・σu≧α・Ag・F
軸部が降伏して、塑性変形(伸び)によって地震エネルギーを吸収する前に、仕口部が破断してしまうのを防ぐための検討です。
Aj:接合部の破断形式に応じた接合部の有効断面積(ブレース母材端部の破断耐力計算時は、Aj=Ae)
α:安全率(炭素鋼の場合1.2、ステンレス鋼の場合1.5)
SS400の場合、σu=400 ,F=235
ブレースが十分塑性化するためには、周辺の柱・梁もそれに追随できなければなりません。
つまり、α・Ag・Fの軸力に対して、柱・梁が座屈しないか(主に梁のほう)、梁端部の仕口が破断しないかどうかの検討も必要になります。
④二次設計の引張耐力算定
Nu=Ag・F
JIS適合材で、SS400の場合、F=235×1.1=258.5とできる。
例)1-M12の場合(SS400, F=258.5)
Nu=88.9mm^2×258.5×10^-3=22.9kN
※部材の終局強度を計算するに際しては、材料強度として告示で定めた数値の1.1倍の数値をとれます。
(★ただし、ターンバックルについては1.1倍してよいと告示に明示されていないため、鉛直ブレースとして保有水平耐力計算に見込むような場合には、確認申請において「法令上1.1倍は不可」と解釈される可能性もあるので、注意が必要)
※終局引張耐力の計算では、有効断面積Aeではなく全断面積Agとする点に注意!
(JISターンバックル筋交い参考資料)
・現場必携 建築構造ポケットブック, p.505
(参考文献)
・2015年 構造設計Q&A集, 日本建築士事務所協会連合会 ,p.95
・2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書
・構造計算適合性判定を踏まえた 建築物の構造設計実務のポイント
★★★★ JISブレースのAeに要注意
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■18/12/13追記
JISターンバックルブレースの取り付けボルトは、摩擦接合ではなく、支圧接合を前提に設計されているそうです。
なので、高力ボルトではなく、中ボルトでもよいそうです。
Q. JISターンバックルの場合の取り付け高力ボルトは、摩擦面の処理は不要か?
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