Last updated on 2020年4月23日
●1915年(大正5) 佐藤利器が「家屋耐震構造論」の中で「建物の重量にある係数を掛けた水平力を建物に作用させ、それを設計地震力とする」という考え方を提唱。
●1920年(大正9) 「市街地建築物法」 「市街地建築物法施行規則」公布
―1923年(大正12) ≪関東大震災≫ M7.9 死者約14万人
●1924年(大正13) 市街地建築物法が改正。 初めて「耐震規定」が誕生!
★震度0.1に対して安全率を3とした(許容応力度)計算
📕1933年 「鉄筋コンクリート構造計算規準(以下RC規準)」(日本建築学会)が発行
📕1947年 「RC規準」改訂→許容応力度設計(長期・短期)
―1948年 ≪福井地震≫ M7.3 死者3895人
●1950年(昭和25) 「建築基準法」 「建築基準法施行令」制定
★長期・短期の概念を導入。短期許容応力度を従来の長期許容応力度の2倍に設定。
★震度0.2に相当する地震力に対して許容応力度計算
●1963年 「100尺(約31m)規定」が撤廃 高度経済成長の時代に突入
―1964年 ≪新潟地震≫ M7.5 死者26人
●1968年 動的設計が用いられた日本初の超高層ビル「霞ヶ関ビル」(高さ147m)が完成
―1968年 ≪十勝沖地震≫ M7.9 死者52人 …RC造建物に被害、柱のせん断破壊
●1971年 基準法施行令改訂
★せん断補強筋の規定の強化:帯筋間隔を従来の30cmから10cm(柱の中央部では15cm)に変更。
―1975年 ≪大分県中部地震≫ M6.4 死者なし
📕1977年 「耐震診断」の基準ができる 「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・改修設計指針・同解説(建築防災協会)」が発行
―1978年 ≪宮城県沖地震≫ M7.4 死者28人
●1981年(昭和56) 基準法施行令改訂 いわゆる「新耐震設計法」の施行
★「耐震診断」の考え方の発展形が「新耐震設計法」
★それまでの「許容応力度計算」(中規模の地震(震度5強程度)に対して無被害を目標)を一次設計とし、新たに層間変形角、剛性率、偏心率、保有水平耐力を検討する二次設計「保有水平耐力計算」(最大級の地震(震度6強~7程度)に対して人命の確保を目標)を新設。
★鉄骨造における高力ボルト接合、鉄筋コンクリート造における床や耐力壁などの規定を追加するなど、仕様規定も整備。
●1982年 日本電気からPC-9800シリーズが販売開始、またたく間に浸透。
1980年代半ば~PC向け構造計算ソフトの市販が開始
1990年~「構造計算はコンピューターで行うもの」という認識がかなり定着。
―1983年 ≪日本海中部地震≫ M7.7 死者104人(津波)
📕1990年 「鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指針」が発行
―1993年 ≪釧路沖地震≫ M7.8 死者2人
―1993年 ≪北海道南西沖地震≫ M7.8 死者230人(津波)
―1994年 ≪北海道東方沖地震≫ M8.1 死者なし
―1994年 ≪三陸はるか沖地震≫ M7.5 死者3人
―1995年 ≪阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)≫ M7.2 死者5504人
★既存(不適格)建物に被害が集中。新耐震設計法の妥当性が証明された。
●1995年 耐震改修促進法…既存建物の耐震診断・補強
📕1997年 「鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震設計指針」が発行
●2000年 1996年 日米首脳会談…「市場開放」「規制緩和」
→建築基準法改正、「性能設計」という考え方が誕生 「限界耐力計算」が登場。
2000年の性能規定化で構造計算のルートが整理された。
●2001年 地盤の許容応力度の算定式に、基礎に作用する荷重の方向に応じた低減係数を追加。
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構造耐力に関する基本的な考え方はこの時点でほぼ整備され、以降の法改正は、既存不適格建築物や非構造材への対応、
確認や検査の厳格化が中心となる。
📕2004年 「鉄筋コンクリート造建物の耐震性能評価指針」が発行
●2005年 耐震偽装事件が発覚 「保有水平耐力計算」の設計用地震力を改ざん
「エネルギー法」(エネルギーの釣合いに基づく耐震計算法)が登場 …基準法施行令の中で「限界耐力計算と同等の方法」として間接的に言及されているだけ
●2007年 建築基準法再改正 …「保有水平耐力計算」の中に「許容応力度等計算」が組み込まれることになった。 …一次設計だけのものは「保有水平耐力計算における保有水平耐力の計算過程を省略したもの」になるが、 「許容応力度等計算」と呼んでいいことになっている。
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参考文献
・「耐震設計とはこんなもの」 野家 牧雄著 丸善プラネット 2009年
・「プロが読み解く 増改築の法規入門 増補改訂版」2019年
・鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震設計指針・同解説
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