Last updated on 2020年5月4日
コンクリートって何か冷たい印象を抱かれがちですよね。
一方、木は「木のぬくもり」という言葉が使われるように、あったかいイメージがあります。
なんでか考えてみます。
①色
コンクリートは灰色、どちらかというと寒色ですね。
木は暖色系です。
②触った感じ
コンクリートを触って、「あったかい」と感じることより「冷たい」ことが多いのではないでしょうか。
木は冷たいと感じることは少ないと思います。
③社会的イメージ
コンクリートは都会的。これはコンクリートが大きな建物の材料に使われることが多いためですね。
木は牧歌的。田舎って感じ。
④人工か天然物か
コンクリートは人が作ったものであり、もともと自然界には存在しなかったもの。
木は天然物。
①の色はどうしようもないですが、個性というべきでしょうね。(コンクリートも色素をまぜることで少し色を変えることもできますが)
②は材料の熱伝導率が関係しています。
熱伝導率とは、熱の伝えやすさのことです。この値が大きいほど、触れたときに熱が伝わりやすくなります。
■熱伝導率[W/(m・k)]
・鋼 46
・コンクリート 1.4~1.6
・木 0.1~0.13
・グラスウール 0.045~0.034
・空気 0.02
コンクリートの熱伝導率は木の約12倍となっています。
つまりコンクリートは木に比べて12倍熱を伝えやすい材料だということです。
熱は高いところから低いところに移動します。
人の体温は通常コンクリートや木よりも高いので、人が触ると、コンクリートには、木と比べて12倍の早さで熱を奪われることになり、「冷たい」と感じるのです。
木の熱伝導率が小さいのは、内部に空気(熱伝導率は0.02と低いですね)を多く含んでいるためです。
③は、価値観によるものなので、人それぞれと言えますね。
④はどうでしょう。
コンクリートは確かに、人が加工して作ったものですが、材料は天然のものです。
■コンクリートの原材料
・粗骨材(砂利)
・細骨材(砂)
・セメント(普通ポルトランドセメント)などの結合材
・水
砂利と砂とセメントを混ぜたものに、水を加えて練り混ぜたものをフレッシュコンクリート(まだ固まってない状態のコンクリート)といいます。これを置いておくと、5~6時間で形が変えられないほどに固まってきます。そして固まってできたものをコンクリートといいます。
簡潔に言うと、コンクリートとは、砂利や砂を結合材(セメントに水を加えたセメントペースト)でくっつけたものです。
セメントに水を加えると、水和反応という化学変化を起こして砂、砂利と結合するのです。
(水が蒸発して固くなっているわけではありません。水を利用して固めているのです。)
セメントの原料はというと、
■セメントの原料
・石灰石
・粘土
・けい石
・鉄原料
・(石こう)
これらのうち、石灰石が7~8割を占めています。
これらを混ぜて1,450度の高温で焼いてできたものを「クリンカ」といい、これを粉砕して、最後に、セメントの固くなる早さを調整する石こうを混ぜたものをセメントといいます。
コンクリートは天然の材料を高温で焼いて作った材料でできているんですね。
木は自然界でいえば猿などの住処ですね。
猿は人間の祖先にあたる動物なので、人間が身近に感じるのも不思議ではありません。
縄文時代から使われてきた建材ですしね。
コンクリートは人工の岩のようなもので、洞窟に近いイメージがあります。洞窟はというと、人間が木を使う以前から住処にしていたといわれています。打ちっぱなしコンクリートの建物にいると、木の建物とはまた別の安心感を感じます。コンクリートは遮音性に優れているので、外部の騒音が入ってきません。また、硬くて動かないというのも安心感につながっているのではないでしょうか。
木が住宅の骨組に多用される理由は、
①普通のサイズであれば材料が安い。
②工期が短い。
というのが大きいですが、木造の住宅にもコンクリートは使われています。
基礎ですね。
木は水に弱いので、基礎に使うことはできません。どうしてもコンクリートが必要なのです。
また、コンクリートは、型枠さえ組むことができれば、どんな形も作ることができます。
建築家にとってはデザインの自由度が高い材料なのです。
このように、それぞれに長所があります。
良い建物を作るには、これらの個性を活かしてうまく使いわけることが重要だといえそうですね。
(参考サイト)
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