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「なぜ新耐震住宅は倒れたか 変わる家づくりの常識」

Last updated on 2019年7月25日

「なぜ新耐震住宅は倒れたか 変わる家づくりの常識」 (日経ホームビルダー編 日経BP社 2016年8月29日)の読書メモです。

 

■2016年熊本地震

・震源…熊本県熊本地方

・地震規模

2016年4月14日午後9時26分…前震 M6.5

16日午前1時25分…本震 M7.3    震度6~5の余震が相次いだ

 

■被災状況

・突然、突き上げるような揺れに襲われた。照明が消え、室内は真っ暗になった。

・熊本県益城町(熊本市から東に車で20分ほどに位置)で戸建て住宅に大きな被害。特に新耐震基準に沿って建てられた住宅の被害が深刻。

・2000年基準でも7棟が倒壊・崩壊

(「2000年基準」…阪神の教訓を踏まえ、接合金物補強と壁量バランスの重要性を強調)

・倒壊・崩壊の割合では、どちらも阪神大震災を上回る

・盛り土の造成地に鋼管杭(長さ約10m)を打った住宅が倒壊

・筋かいの粘りのなさが露呈…接合部が粘るより先に、筋かい材が座屈?

・支流沿いや谷埋め盛り土の宅地で顕著な地震被害。

地盤による増幅、断層運動の影響が大きい?

・軟弱地盤で地震動が増幅されたこともあるが、2度にわたる地震が倒壊の大きな原因か

・河川沿いや旧河川、氾濫平野で液状化被害が目立った。建物の不同沈下や杭の浮き上がり

・壁量2倍の住宅はほぼ無

 

■設計・施工の配慮不足

①壁の上下位置が不連続(直下率(上下階でつながっている柱や耐力壁の割合)が小さい)

 

②実荷重を過小評価

建基法の壁量計算では、1階の床面積にオーバーハングやベランダを含める必要がない上、外壁の種類も考慮しない。

軽い屋根と重い屋根で区別するが、屋根に太陽光パネルが載った場合のルールもない。

許容応力度計算で求めた壁量より、壁量計算で求めた壁量が不足することがある。

・バルコニーと屋外階段の荷重を考慮していなかった?

・ALCを壁量計算の重量に含めていなかった?

サイディングが落下し、面材としての余力がなくなった。

 

③筋かいの使い方

目立ったのは断面寸法が45×90で長さ(間柱寸法)が2P(1820mm)の筋かいの破断。

2Pの筋かいは1Pの筋交いと同じ壁倍率(=2)だが、実験すると圧縮側も引張側も1Pのときより下がり、平均して2倍を下回ることもある。

(面材があると2倍程度になるといわれているが今後確認が必要)

 

④その他設計・施工ミス

新耐震基準の住宅でも接合部の補強が必要な建物がある。(2000年基準導入前の新耐震基準の住宅約1万棟のうち65%がクギ留め程度にすぎなかった)

柱脚金物を留め付けるクギの種類を間違っていた

筋かい端部金物がない

金物を間柱に付けている

ホールダウン金物が少ない

 

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・耐震化が不十分な木造住宅は、鉄筋コンクリート造などの建物に比べて、建物内の人的被害が大きい

 

・古い木造住宅では崩れた土壁などから出た粒子が空気中に舞う。閉鎖空間で汚染された空気を吸い続けること

 

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